ハイバーとローバー、コンベンショナルとスモウ。どちらが正しいかではなく、どちらが自分のタイプに合うか。3種目のフォームをタイプ別に解説します。
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パワーリフティングは、ベンチプレス・スクワット・デッドリフトの3種目を行い、それぞれの最大重量の合計を競う競技です。重量を挙げることに特化しており、見た目を競うボディビルや、オリンピック競技であるウェイトリフティングとは別の競技です。体重別のクラスで競われます。
「もっと足幅を広げろ」「グリップを狭く」──そのアドバイス、あなたのタイプに合っていますか。
パワーリフティングの目的は、最大重量を安全に挙げることです。そのために様々な指導が行われますが、体の重心タイプが違えば、正しいフォームも変わります。
Aタイプの選手が「もっとどっしり構えろ」と言われても力が入りません。Bタイプの選手が「もっと前傾して引け」と言われ続けると、腰を痛めるリスクが上がります。自分のタイプを知ることが、怪我なく記録を伸ばす最短ルートです。
仰向けでバーベルを胸まで下ろし、肘を伸ばして押し上げる種目です。胸、三角筋、上腕三頭筋が主働筋になります。競技では胸に完全にタッチしてから押し上げるルールです。
グリップは指先寄り。バーはみぞおちの方向へ下ろします。胸骨の中央より上ではなく、みぞおちに近い位置でタッチする感覚です。
アーチはやや浅めで、体の前面を使って押し出すため、大胸筋全体で押し止める感覚が出しやすくなります。
グリップは手のひら全体。バーは胸の上部、乳頭よりやや高い位置に下ろします。肩甲骨をしっかり寄せてアーチをつくります。
アーチは大きめで、背面の力を使って背中からバーを弾き返すように押し出します。
前後の重心がA/Bで決まったら、次はグリップ幅です。どの筋肉を主役にするかで、握る位置が変わります。
上腕三頭筋と体の内側の力を使いやすいため、グリップを肩幅よりやや狭くすると力が入ります。上腕三頭筋が強みになるタイプです。
大胸筋の外側と三角筋の力を使いやすいため、グリップを肩幅より広くすると力を発揮しやすくなります。大胸筋が強みになるタイプです。
バーベルを背中に担ぎ、しゃがんで立ち上がる種目です。大腿四頭筋、臀筋、ハムストリングスが主働筋です。競技では股関節が膝より低くなるまでしゃがむルールです。
バーを首の付根から少し下あたりに担ぐ、ハイバー気味のポジションです。しゃがむ際はつま先側に体重を乗せ、膝を前に出しながら深く沈みます。
大腿四頭筋を主に使い、膝の伸展力でバーを押し上げる感覚になります。
バーを肩甲骨の上に乗せる、ローバー気味のポジションです。しゃがむ際はかかとに体重を落とし、股関節を後ろに引きながら沈みます。
臀筋とハムストリングスを主に使い、背面全体の力でバーを持ち上げる感覚になります。
足の内側に重心を置き、つま先はほぼ前向きにします。膝を内側の力でコントロールし、大腿四頭筋と回旋筋を使う狭めのスタンスです。
足の外側に重心を乗せ、つま先を45度程度外へ向けます。股関節外旋筋、臀筋、大腿外側を主に使うワイドスタンスで、深くしゃがみやすい人が多い形です。
床に置いたバーベルを持ち上げ、直立する種目です。脊柱起立筋、臀筋、ハムストリングス、広背筋が主働筋になります。競技ではコンベンショナルとスモウの2スタイルが認められています。
つま先寄りに体重をかけ、引き始めに膝を前に出しながら体の前面でバーを引き上げます。みぞおちを先行させながら上体を起こしていく感覚です。
コンベンショナルスタイルとの相性がよく、引き始めの膝の動きに自由度があります。
かかとに体重を乗せ、背面全体でバーを引き上げます。引き始めに体を後ろへ押し込むような感覚で、臀筋とハムストリングスに力が入ります。
スモウスタイル(広いスタンスで股関節外旋)との相性が特によく、腰への負荷も分散できます。
デッドリフトでの腰痛は、タイプに合わないフォームで引き続けることが大きな原因のひとつです。Bタイプに「もっと前傾で引け」という指導が続くと、腰椎へのストレスが増大します。タイプに合ったフォームを見つけることが、最大の怪我予防になります。
3種目に共通して必要なのが、体幹の剛性です。腹圧をどこにかけるかが、タイプによって変わります。
みぞおち(P2)を意識し、腹を前に押し出すようにブレーシングします。息を吸ってみぞおち周辺を膨らませる方向に圧を高めると、体の前面に張りができ、体幹全体の剛性が上がります。
首の付根(P1)を固定点として意識し、背面全体に圧をかけます。息を吸って背中を膨らませる方向に圧を高めると、背面が殻のように固まり、重量を受け止める体幹が生まれます。
同じ重量を挙げるにしても、力の通り道はタイプで変わります。A1はハイバーのスクワットと狭めのグリップで大腿四頭筋と上腕三頭筋を活かし、A2は外旋を使った大きな可動域と大胸筋の伸びを活かします。B1はローバーで背面から内側に絞る安定感、B2はスモウとの相性がよく背面の広い筋群で爆発力を出します。
記録が伸びない、あるいは特定の部位に痛みが出るという場合、原因は追い込み不足ではなくフォームとタイプの食い違いかもしれません。タイプに合ったフォームは、記録の向上と怪我の予防を同時に実現します。
基礎編
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