「正しい騎乗姿勢」は一つではない――4スタンス理論で、自分の身体に合った自然で力を発揮しやすい乗馬フォームを見つけましょう。
この記事の前に
あなたはどのタイプ?4スタンス理論で自分の体の使い方を知ろう
同じ練習をしているのに、なぜか結果が出ない。コーチに言われた通りに動いているのに、どこかしっくりこない。そんな経験をした…
「もっと背筋を伸ばして」「かかとを下げて」―その指導、あなたの体に合っていますか?
「正しい騎乗姿勢」は一つではなく、タイプの数だけ存在します。
A/B = つま先/かかと重心、1/2 = 内側/外側重心
クロス(A1, B2)= 対角線連動、パラレル(A2, B1)= 同側連動
5ポイント = P1首付根, P2みぞおち, P3股関節, P4膝, P5足裏
画一的な指導で「なぜかうまくいかない」のは、タイプとは違う動き方を求められていたからかもしれません。
Aタイプは首の付根(P1)と股関節(P3)を固定し、みぞおち(P2)と膝(P4)を動かします。Bタイプはその逆で、みぞおちと膝を軸にして首の付根と股関節を動かします。同じ「安定した騎乗姿勢」でも、体のどこを止めてどこを動かすかが正反対になるということです。
騎乗姿勢の違いは、「固定するポイント(基点)」と「動かすポイント(可動点)」が逆になることで生まれます。
基点 = P2(みぞおち), P4(膝)
可動点 = P1(首付根), P3(股関節)
基点 = P1(首付根), P3(股関節)
可動点 = P2(みぞおち), P4(膝)
手綱を持つ手は、馬とのやり取りがもっとも細かく現れる場所です。ここでもAタイプは指先、Bタイプは手のひらと、力の入る場所が分かれます。
Aタイプは母指球から指先にかけて感覚が鋭く、手綱を指でつまむように持つと繊細な操作ができます。一方Bタイプは手のひら全体で包み込むように握るほうが安定し、馬の動きに引かれてもぶれません。合わない持ち方をすると、手先に力が入りすぎたり、逆に手綱が滑ってしまったりします。
ペンを持つとき、指先でつまむ?手のひらで包む?
指先(指の腹)で手綱を握る
繊細なコントロール。
ペンを指先でつまむ感覚。
手のひら全体で手綱を包む
安定感のあるホールド。
バッグの持ち手を握り込む感覚。
「脇を締めて」という指導は乗馬でも定番ですが、これでうまくいく人と、かえって窮屈になる人がいます。締めるべき場所がタイプで違うからです。
Aタイプは脇を締めることで前腕から手先の操作がしやすくなります。Bタイプは肘を締めることで肩甲骨まわりが安定します。自分に合わないほうを意識すると、腕全体がこわばって馬の動きを邪魔してしまいます。
「脇を締めて!」でうまくできる人とかえって窮屈になる人がいる
肘を締める
前腕〜手先の操作がしやすくなる。
脇を締める
肩甲骨まわりが安定。
鐙は体重を預ける場所であり、騎乗姿勢の土台になります。立ち上がるときにつま先へ力が入るか、かかとに体重が残るかで、踏むべき位置が分かれます。
Aタイプはつま先側(母指球のあたり)で踏むと、脚全体が軽く使えます。Bタイプはかかと寄り、足の中央から後方で踏むほうが安定します。「かかとを下げて」という指導がしっくりこない場合、Aタイプの体にBタイプの踏み方を当てはめている可能性があります。
立ち上がるとき、つま先に力が入る?かかとに体重が残る?
つま先側(母指球付近)で踏む
足の前方に重心を乗せて鐙を踏む
かかと寄り(足の中央〜後方)で踏む
足の後方に重心を乗せて鐙を踏む
骨盤の角度は、鞍の上での座り方そのものを決めます。ここはA/Bではなく、1タイプ・2タイプで分かれます。
1タイプは骨盤の前傾が深く(およそ40度)、お尻の内側で深く座る感覚が合います。2タイプは前傾が浅く(およそ20度)、骨盤を立てて坐骨を鞍にしっかり当てる感覚が合います。深く座るのが正解でも、立てて座るのが正解でもなく、自分のタイプに合うほうが「その人にとっての正しい騎座」です。
骨盤前傾約40度
お尻の前側で座るイメージ。
骨盤前傾約20度
坐骨を鞍にしっかり当てるイメージ。
最後は顔の向きです。細かいようですが、顎の引き方ひとつで体幹の張り方が変わり、騎乗姿勢全体に影響します。
パラレルタイプ(A2・B1)は顎を真下に引き、首をまっすぐ保って視線をやや遠くに置くと安定します。クロスタイプ(A1・B2)は顎を斜め下(のど側)に向けて引き、首にゆるやかなカーブを作り、視線は中距離に置くほうが自然です。「もっと前を見て」「顎を引いて」の指導は、この違いを踏まえると受け取り方が変わります。
顎は真下(垂直方向)に引く
首をまっすぐ。視線はやや遠く。
顎は斜め下(のど元に向かって)
首にわずかなカーブ。視線はやや手前〜中距離。
AタイプとBタイプでは、身体の基点となる部位や重心位置が異なり、手綱の握り方や肘・脇の使い方、鐙の踏み方にも違いが現れます。
また、1タイプと2タイプでは骨盤の傾きや座り方が変わり、クロスとパラレルでは顎の引き方や視線の向け方にも特徴があります。
大切なのは、一般的な「正しい姿勢」を目指すのではなく、自分のタイプに合った動きを理解することです。
自分に合わないフォームを無理に続けると、動きにくさや違和感につながることがあります。
4スタンス理論を取り入れることで、無理なく自然な姿勢を見つけ、馬との一体感を高めることができます。
「なぜうまくできないのか」ではなく、「自分にはどんな動き方が合っているのか」を知ることが、上達への近道になるでしょう。
あなた自身の身体特性を理解し、より快適で楽しい乗馬を目指してみてください。
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